2年半ぶりにベトナムに来た。
やはり暑い。
湿気も雨季の終盤なのでかなりスゴくてジメジメしている。
そんなホーチミンからメコンデルタの中心都市カントー へ。
大学の調査に便乗させてもらい(自腹)、様々な場所へ同行させてもらう。
そんな時毎度の事なのだが、英会話力の無さを知り合ったベトナムの方たちとの会話で改めて思い知る。
ベトナム訛りの英語で聞き取りにくい事はあるのだが、あまりにも喋れない。
言いたいことがあるのだが、どう表現していいかわからない。
単語力も全然だ…
話しかけられるとつい動揺してしまう。
目的地に移動する車でメコン川にかかる橋を渡りながら、英語の事を思い出して悲しくなって目頭が熱くなる。
同時に予備校生の頃開店から閉店までパチンコ屋に入り浸って人生を無為に過ごした事を思い出して親に対する申し訳ない気持ちと、浪人したのにいい大学には行けなかった恥ずかしさで顔も熱くなる。
訳がわからん感情と状態。
浪人時代のように、これまでのように楽な方に流されるのか?
しかし今回は違う!
メコンに登る太陽に誓ったのだ!
必ず帰国後勉強すると!
喋れるようになると!
そんな気持ちで走る車の窓から田んぼとヤシの木、バナナが生い茂る林を眺めながら
自分の頭の中には映画プラトーンの中で流れていたジェファーソンエアプレインの曲が流れていた。
この時はまだ…
調査に同行した後昼食に行った。
バナナやヤシが生い茂る水路の横にぎりぎり車1台が通ることができるデコボコ道を進み、突然開けた場所にレストランはあった。
どうやらこの時期にしか食べられない魚料理のお店らしい。
何度か食べたことがある鍋料理だ。
パイナップル味の鍋。
なかなか日本にはない、そしてあっても絶対食べないであろう味。
実はイワシのような小魚があまり得意ではない。
ああ、また鍋かと思いながら並べられていく料理や食材を眺めていると、なんとも言えない違和感を感じた。
ふと目線を上に上げると、サイドは刈り上げ、ワインレッドの心の頃の玉置浩二のようなメイクと髪型をして身のこなしにしなの入ったウエイターが!
こんなベトナムの田舎に!
そのウェイターが料理を運んで来て私の横から女性のようなしなやかな動きでテーブルの上に置いていく。
意表を突いたウェイターの出現で、目でつい追ってしまう。
あれ?1人じゃない⁈
3人もいる!
動揺しながらチラチラみているうちに、本来ならワインレッドの心が流れそうなものだが、気付けば頭の中の曲はカルチャークラブに代わっていたのだった。